抄録
本研究は,多孔質セラミックスのみを用い,植物が必要とする最小限の養水分で,植物栽培が可能かどうかを試みたものである。栽培に用いたセラミックスの,吸水速度,透過水量,含水率等の特性を検討した。その結果,陶土の種類,焼成温度により差異がみられたが,焼成温度1,200℃以上のセラミックスが植物の成育に適することが判明した。セラミックスへの給水媒体は,毛細管による給水力が大きいこと,劣化しにくいこと,有害物質を含まないことなどの面から,グラスファイバーを使用することとした。このグラスファイバーの吸水速度試験では,撚り方の強弱等によって差異がみられた。給水システムは倒置式タンク法を用い,給水管は水平連結によって一定水位を保つよう考案した。以上のような結果をもとに,現在約50種類の植物を栽培しており,順調に成育している。