2022 年 17 巻 p. 135-149
高齢化社会の到来と共に医療財政が逼迫する中、医療費の適正化に向けた検討が重ねられている。医療費削減に向けた有望な取り組みとして、アカデミック・ディテーラーが医療者に対して医薬品情報提供を行うアウトリーチの手法であるアカデミック・ディテーリングがある。この活動は海外では40年を超す実績があるが、日本は萌芽期にある。そこで本研究では、日本の医療現場においてアカデミック・ディテーリングの役割を担う人材育成を目指すアカデミック・ディテーラー養成プログラムの開発・展開事例について取り上げる。専門性の高い多職能が集う養成プログラムの開発においては、明確なミッション共有のもと、メンバーが専門職能に基づきリーダーシップを共有するシェアード・リーダーシップを発揮していた。また、シェアード・リーダーシップのもと、メンバーが共有するミッションを具体的な活動に取り込み行動するために組織運営を支えるための仕組みとしてマネジメント・コントロール・システムが機能していた。今後、医療現場においてアカデミック・ディーテーリングを導入するためには、薬剤師もリーダーシップやマネジメント・スキルの学びが必要とされる。