アプライド・セラピューティクス
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地域連携システム「金鯱メディネット」におけるカルテ情報を利用したかかりつけ薬局の質向上に向けた探索的研究
天野 詩織 井上 裕貴伊藤 佑奈間瀬 定政本多 祥子中井 正彦佐藤 智太郎網岡 克維松本 修一奥田 聡
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2022 年 17 巻 p. 25-34

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抄録

保険薬局は患者の服薬情報の一元的・継続的な把握と薬学的管理・指導を実施し、ICTを活用しながら患者に接していくことが求められている。そこで名古屋医療センター(以下当院)の地域連携システム「金鯱メディネット」の情報が、薬局にてどのように利用されているか調査を行った。2015年9月から2016年7月までの当院に通院し、「金鯱メディネット」の情報共有に同意した患者10例を対象とした。「金鯱メディネット」の閲覧回数が最も多かった項目は医師・薬剤師の記録であった。処方箋発行日と処方箋発行日以外での利用日数を比較した結果、処方箋発行日以外の利用日数が有意に多かった。(P=0.019)受診回数に対する「金鯱メディネット」への閲覧回数では、受診回数が多い患者ほど閲覧回数も比例して増加し相関がみられた。(r=0.82)「金鯱メディネット」で患者情報を確認し、服薬指導に繋げていることが示唆された。また、「金鯱メディネット」で電子カルテ情報を開示後、来院日以外にも電子カルテの情報を閲覧するなど、服薬指導のあり方が変化していることが明らかとなった。ICTを利用し、医療情報を多職種で共有することは業務効率や継続的に患者をケアしていくうえで必須であり、「金鯱メディネット」により患者情報を共有することは、保険薬局が多職種・多機関とより強固な連携を行い地域包括ケアの一翼を担うための手段の一つとなることが示唆された。

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© 2022 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
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