アプライド・セラピューティクス
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炎症性腸疾患領域における薬剤師の処方代行入力に関する因子解析
佐藤 将嗣 藤田 志穂石村 淳松田 佳和
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2022 年 17 巻 p. 59-68

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抄録
近年、医療の急激な発展と複雑化する患者背景の中、医療従事者が互いに高い専門性を発揮した上で協働することは有益とされている。薬剤師のチーム医療への取り組みとして診療カンファレンスの参加および回診への同行が行われており、他職種とのタスクシフト・タスクシェアに寄与している。しかし、これらの活動が、医師業務のタスクシフトである処方代行入力の頻度に寄与するかを検討した報告はない。そこで、本研究は、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease, IBD)領域において薬剤師が診療カンファレンスに参加および回診に同行することが薬剤師の処方代行入力の頻度にどのような影響を与えるのかを検討したため報告する。 2018年1月から2020年12月までの2年間でIBDが原因で入院した患者の処方箋を後ろ向きに調査し、薬剤師の処方代行入力への関わりを評価した。調査対象となった処方箋は内服・外用処方箋835枚、注射処方箋が2105枚で、処方代行入力はそれぞれ581枚(69.6%)、503枚(23.9%)であった。処方代行入力に関して多変量解析を行うと「回診への定期参加」は内服・外用処方箋においては、調整オッズ比 5.03 (95%信頼区間:2.31-10.96, P‹0.001)であり、注射処方箋では、調整オッズ比 6.26 (95%信頼区間:3.50-12.01, P‹0.001)で、有意に処方代行入力を促進する因子となった。したがって、薬剤師の回診への定期的な参加は、薬剤師による処方代行入力を促進させ、タスクシフトに影響を与える可能性が推察された。
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© 2022 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
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