抄録
新型コロナウイルス感染症 (coronavirus disease 2019: COVID-19)に対するmRNAワクチンは重症化予防などに効果があること知られている。一方、副作用としては注射部位の痛み、疲労、頭痛などのように頻度が高いものと、稀ではあるが心筋炎や心内膜炎を疑う事例も報告されている。今回、我々は新型コロナウイルスの1価起源株によるmRNAワクチンを4回接種した際には副反応が見られなかったものの、オミクロン対応2価ワクチンであるコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(コミナティ®、有効成分トジナメラン及びファムトジナメラン)を接種した後に、横紋筋融解症の発症が疑われた1例を経験したので報告する。症例は70歳代の男性で上記ワクチン接種の2日後に、起床時のだるさを自覚し、立ち上がれずに這っている所を訪問ヘルパー発見された。救急車にて当院に搬送となり、臨床検査を受けたところ、血清クリアチニンキナーゼ(CK)が7,455 U/L、尿中ミオグロビンが28,400 ng/mLといずれも高値を示したため、横紋筋融解症の診断で入院となった。患者は、横紋筋融解症の副作用報告のあるラベプラゾールを服用されていたが、服用が長期に渡っていること、2日前に上記のオミクロン対応2価ワクチンの接種歴があったことから、同ワクチンとの因果関係が疑われた。その後、連日、生理食塩水が投与し経過を観察したところ、経時的にCK値は低下し、急性腎機能障害の発症もなく、体動困難も消失した。本症例では、薬剤師が服用薬歴を調査し、被疑薬の特定を行うことで、横紋筋融解症の早期診断とその後治療に繋がったと考えられる。