失語症研究
シンポジウム
遠隔記憶の神経心理学的評価
吉益 晴夫加藤 元一郎三村 將若松 直樹斎藤 文恵鹿島 晴雄浅井 昌弘
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18 巻 (1998) 3 号 p. 205-214

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抄録

遠隔記憶障害を検出する場合,想起された内容の真実性,再学習の有無,興味や関心の個人差,時間的傾斜の検出の可否が問題となる。社会的なことがらを利用した遠隔記憶検査では興味や関心の個人差が,自伝的なことがらを利用した遠隔記憶検査では想起された内容の真実性が特に問題となる。また,比較的やさしい課題で健常群の天井効果を認める場合,または,比較的難しい課題で健忘群の床効果を認める場合には,時間的傾斜の有無に関して確実なことがいえなくなる。流暢性ベースの遠隔記憶検査は,単位時間内に知人の名前や体験した出来事をできるだけたくさん想起する課題であり,検査の構造上,天井効果が起こりえないために時間的傾斜の問題を考える場合には好都合である。また,内容の異なる遠隔記憶でも流暢性ベースで質問することにより,記憶以外の条件を等しくできる利点もある。コルサコフ症候群において,自伝的記憶流暢性検査の成績は,従来までの自伝的記憶検査の成績と有意な相関を認めており,遠隔記憶検査として有用性が高いと思われた。

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© 1998 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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