失語症研究
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原著
変性性痴呆疾患における認知機能検査の役割
福井 俊哉Andrew Kertesz河村 満
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1999 年 19 巻 4 号 p. 252-260

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抄録

Pick complex[PiC : frontotemporal dementia (FTD) ,primary progressive aphasia (PPA) ,semantic dementia (SD) ]とアルツハイマー病 (AD) における認知機能検査の意義について検討した。FTD11例,PPA17例,SD3例,probable AD24例を対象にして,改訂版Wechsler Adult Intelligence Scale (WAIS-R) ,Mattis Dementia Rating Scale (DRS) ,Western Aphasia Battery (WAB) ,Frontal Behavioral Inventory (FBI) の成績を比較し,それらが臨床診断を予測しえるか否かを判別分析により検討した。さらに,脳MRIから求めた局所脳体積と認知機能検査との相関を検討した。その結果,FBI,DRSと一部の WAIS-R 下位検査成績が PiC と AD の間において,また,WAB の成績が PiC 内の臨床型の間で有意に異なっていた。判別分析では FBI が有意な判別変数であり,69.6% に相当する症例が臨床診断と同様に分類された。FTD と PPA では WAB などの言語性検査の成績が左前頭側頭葉~頭頂葉の体積と相関した。脳体積と認知機能の相関関係が PiC においてのみ認められたことから,その痴呆は脳部位特異的な認知機能障害の集積であるのに対して,AD の痴呆はよりびまん性に分布する認知機能の障害に基づくものと推測された。

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© 1999 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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