失語症研究
原著
失語症患者の言語性短期記憶
—2症例における音韻情報と意味情報の短期保持について—
目黒 祐子藤井 俊勝月浦 崇山鳥 重大竹 浩也大塚 祐司遠藤 佳子
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20 巻 (2000) 3 号 p. 251-259

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抄録

一般に言語性短期記憶は音韻情報の保持容量を指標としているが,言語情報は通常,意味と結びついているはずである。そこで単語レベルについては音韻の短期記憶 (音韻性ループ) に加えて意味の短期記憶 (意味性短期貯蔵庫) を仮定した。標準失語症検査の単語レベル課題の成績がほぼ同じ2症例に,単語系列を聴覚的および視覚的に提示し,口頭反応 (音韻情報保持) と線画指示 (意味情報保持) の成績を比較した。前頭葉損傷の症例1は刺激を聴覚提示した場合には指示スパンが低下しており,視覚提示した場合には聴覚提示に比べて明らかに成績が低下していた。一方,側頭-頭頂葉損傷の症例2では課題により成績に差を認めなかった。すなわち,症例1では複数情報が継時的に入力された場合,音韻情報と意味情報の保持に乖離を認め,さらには視覚情報から音韻情報への変換過程にも障害が見られた。しかし症例2では音韻性短期貯蔵庫の容量が削減していても意味情報として保持可能であることが明らかとなった。

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© 2000 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
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