失語症研究
Online ISSN : 1880-6716
Print ISSN : 0285-9513
ISSN-L : 0285-9513
原著
口腔顔面失行における意図性保続の検討
元村 直靖瀬尾 崇堺 俊明山鳥 重
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 9 巻 4 号 p. 262-269

詳細
抄録

顔面の系列動作における意図性保続について検討を加えた.顔面の系列動作テストの結果,口腔顔面失行17例のうち 10 例に運動の意図性保続が観察された.意図性保続は反応の様式から,即時型および遅延型の2種類に分類することが可能であった.また,口腔顔面失行を流暢型失語を伴う群と非流暢型失語を伴う群に分類し,両群にみられる意図性保続の性状を比較したが,即時型および遅延型の保続の出現頻度には明かな差異は認められなかった.さらに, 呼称課題における言語性保続と顔面の系列動作で観察された運動保続との間には有意な連関は認められなかった. CT 上の病変は左前頭葉, 島, 頭頂葉および側頭葉にみられたが, 前頭葉病変を伴わない病変のみでも意図性保続け観察された.顔面の系列動作における意図性保続にも言語性の保続と同様に遅延型の保続が観察されたことより, その成立の機序としては運動の記憶痕跡の抑制説が最も妥当な仮説であると考えられた.

著者関連情報
© 1989 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 (旧 日本失語症学会)
前の記事 次の記事
feedback
Top