2015 年 63 巻 1 号 p. 71-78
マダイ稚魚の飼育成績および肝膵臓組織に及ぼす大豆油粕のエタノール処理の効果を調べるために,魚粉,大豆油粕,濃縮大豆タンパク(SPC),分離大豆タンパク(SPI),エタノール洗浄 SPI(EtSPI)を主なタンパク質源とした5飼料を,マダイ(平均体重 9 g, 2水槽/飼料)に水温20°Cの下で6週間給与した。飼育成績は魚粉区で最も優れ,大豆タンパク質区の中では SPC および EtSPI 区が優れた。比肝重量は,魚粉,SPC および EtSPI 区で大豆油粕区よりも有意に高い値を示した。胆のう重量比および総胆汁酸濃度には,試験区による違いはみられなかった。大豆油粕および SPI 区では肝細胞の一部核濃縮と萎縮がみられたが,SPC および EtSPI 区では肝細胞に萎縮は生じておらず,組織像は魚粉区に類似していた。以上の結果から,大豆油粕中のエタノール抽出物がマダイ稚魚の飼育成績の低下や肝膵臓組織の異常の要因であることが示唆された。