水産増殖
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原著論文
“楊貴妃メダカ”におけるカロテノイドについて
塩出 雄亮中田 和義
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2017 年 65 巻 3 号 p. 203-208

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抄録

観賞魚の“楊貴妃メダカ”は,朱赤色のミナミメダカの変異体である。楊貴妃メダカの発色メカニズムを解明するため,鱗の色素胞,体内のカロテノイドの定量,カロテノイドを含む飼料による体色変化について,楊貴妃メダカとヒメダカを比較し検討した。体表の色素胞は,楊貴妃メダカ,ヒメダカともに黄色素胞が主体で,黒色素胞はほとんど存在しなかった。一方,黄色素胞内の色素顆粒は楊貴妃メダカが橙赤色で,ヒメダカは淡黄色であった。アスタキサンチン,ゼアキサンチン,ルテインの濃度は楊貴妃メダカがヒメダカよりも高く,とりわけアスタキサンチンは楊貴妃メダカがヒメダカの10倍以上高かった。アスタキサンチンを添加した飼料を給餌したところ,楊貴妃メダカ,ヒメダカともに頭頂部の色相値が有意に低下した。これらの結果は,楊貴妃メダカの朱赤色はカロテノイドと関連があること,カロテノイドの摂取により赤みが強くなることを示している。

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© 2017 日本水産増殖学会
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