2018 年 66 巻 4 号 p. 257-266
ホールマウント免疫染色法を用いて,マガレイ(Pseudopleuronectes herzensteini),スナガレイ(Limanda punctatissima)およびソウハチ(Cleisthenes pinetorum)の3種カレイ卵種判別を試みた。先ず,各カレイ排卵卵の卵膜を抗原としたポリクローナル抗体(a-マガレイ VE,a-スナガレイ VE,a-ソウハチ VE)を作製した。試料として,受精後24時間以内の各カレイ授精卵を用い,同抗体と標識二次抗体を用いた方法(2ステップ法)および,標識1次抗体を用いた方法(1ステップ法)でホールマウント免疫染色を行った。その結果,いずれの手法でも,対象種授精卵を特異的に染色することができた。以上,本研究で開発した免疫染色によるカレイ卵の種判別法は,カレイ類の生活史初期における資源量調査の簡易化に大きく役立つと考えられた。