2019 年 67 巻 2 号 p. 175-178
イワガキの養殖用種苗はほとんどが人工種苗生産により供給されている。イワガキの稚貝は,主にホタテガイの貝殻に付着した状態で出荷されることから,1枚のホタテガイ貝殻に十分な数の稚貝が付着していることが重要である。 本研究では,イワガキ着底期幼生の密度および付着基質として入れるホタテガイの貝殻の数がイワガキ稚貝の付着数に及ぼす影響を調べた。様々な条件でイワガキの着底試験を行った結果,幼生密度0.5個/ml で1枚のホタテガイ貝殻に20個以上のイワガキ稚貝が付着する割合が平均で80%であった。また,水槽内のホタテガイ貝殻1枚に対する幼生数が1000個以上の条件で,20個以上の稚貝が付着する貝殻の割合が平均86%であった。これらのことから,イワガキの着底期の飼育条件を1000 l 水槽で幼生密度0.5個/ml,ホタテガイの貝殻を500枚設置とすることで,水槽内の概ね80%以上の貝殻に十分な数の稚貝を付着させることができることを明らかにした。