水産増殖
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飼料中へのコレスチラミンと抱合胆汁酸の補足がブルーギル Lepomis macrochirus のタウリン生合成と胆のう胆汁酸に与える影響
後藤 孝信菊地 拓也原田 太一柳澤 元紀桑原 卓哉田中 祐市橋 秋人遠藤 直貴
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2019 年 67 巻 2 号 p. 183-189

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抄録

胆汁塩とタウリンの生合成の関係を調べるため,ブルーギルにコレスチラミン,およびタウリンまたはグリシンの抱合したコール酸を与えて,胆のう胆汁酸,筋肉アミノ酸と肝臓の酵素活性を分析した。
コレスチラミンでは,その投与量に依存して胆のう胆汁酸量は著しく減少したが,タウリン生合成の要であるシステインスルフィン酸脱炭酸酵素の活性は変化せず,それに代わってアラニントランスアミナーゼ活性が低下した。
抱合胆汁酸の投与では,飼料摂取量の低下による魚体重の低下がみられたが,投与した胆汁酸は胆のう胆汁酸の主成分として検出された。しかしながら,システインスルフィン酸脱炭酸酵素の活性は変動しなかった。
以上のことから,体内の抱合胆汁酸量の変化はブルーギルのタウリン生合成に影響を与えず,この魚種のタウリンとその抱合胆汁酸は,含硫アミノ酸とコレステロールの排泄形態として主に機能している可能性が示された。

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© 2019 日本水産増殖学会
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