水産増殖
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原著論文
多孔質ろ材の洗浄がアンモニア酸化活性とアンモニア酸化微生物に及ぼす影響
今井 正坂見 知子高志 利宣森田 哲男今井 智山本 義久岡 雅一
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2019 年 67 巻 3 号 p. 233-240

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抄録

ろ材の洗浄がアンモニア酸化活性とアンモニア酸化微生物に及ぼす影響を調べた。実験には人工海水中で硝化微生物を付着させた多孔質ろ材を用いた。閉塞したろ材は洗浄によりアンモニア酸化活性が2 倍以上増大した。人工海水で洗浄したろ材のアンモニア酸化活性は洗浄前の92%に低下した。ろ材中のアンモニア酸化古細菌とアンモニア酸化細菌の現存量は,それぞれ94%と86%に減少した。洗浄水には15%のアンモニア酸化活性があった。洗浄水から両アンモニア酸化微生物が検出されたことは,洗浄したろ材からの流出に由来すると考えられた。生物ろ過槽の運用環境と10℃異なる水でろ材を洗浄してもアンモニア酸化活性の低下は10%未満であった。淡水で洗浄したろ材のアンモニア酸化活性は約25%減少し,水道水に浸漬した状態ではアンモニア酸化活性は91%低下した。アンモニア酸化活性を最適な効率で維持するために,洗浄に使用する水は生物ろ過槽の運用条件に従うべきである。

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© 2019 日本水産増殖学会
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