2020 年 68 巻 2 号 p. 111-119
植物成長調節剤(PGR)であるジベレリン(GA3)とステビオサイドがコンブ目のサガラメ配偶体の成長と成熟に及ぼす影響を調べた。サガラメ胞子体から採取した遊走子をジベレリン添加培地およびステビオサイド添加培地で培養した。ジベレリン添加培地では,雌性配偶体の細胞数は少なく,細胞の面積が大きくなった。培養17日目の雌性配偶体の成熟率は対照培地が77.0%であったのに対し,ジベレリン添加培地で99.0%,細胞あたりの生卵器形成数は対照が0.39個であったのに対し,ジベレリン添加培地では1.71個であった。ステビオサイド 添加培地で培養した配偶体には生卵器は形成されなかった。これらの結果から,遊走子から発芽直後のサガラメ配偶体に対して,ジベレリンは成熟促進,ステビオサイドは成熟抑制の作用を持つことが示された。ジベレリンとステビオサイド はサガラメ配偶体の維持と管理の効率化に有用であると考えられる。