水産増殖
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原著論文
新規ろ材の硝化作用の獲得に及ぼす種ろ材添加の効果
今井 正津崎 龍雄西岡 豊弘森田 哲男山本 義久
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2021 年 69 巻 4 号 p. 255-263

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抄録

本研究の目的は,新規ろ材が硝化作用を獲得するのに要する時間を短縮させるために熟成済みの種ろ材の添加の効果を示すことである。実験は人工海水中でセラミックスろ材を用いて25℃で行った。使用した種ろ材は約 6 mg-N/h/kg のアンモニア酸化能力を持つ。種ろ材の割合は1回目の実験では 0,12.5,25,50%とし,2回目は0,0.1,1,10%とした。各実験で使用したろ材(新規+種)の総重量は1,000 g とした。全アンモニア態窒素10 mg-N/l で添加後,アンモニアと亜硝酸が検出されなくなった日を硝化作用の獲得とした。新規ろ材は硝化作用の獲得に約50日を要したが,種ろ材を添加した場合には4~30日に短縮した。種ろ材の割合の増加に伴いその日数は短くなった。さらに,種ろ材(100 g)を新規ろ材(1,000 g)の上に置き,1週間後に水槽から種ろ材を回収した。この場合でもアンモニアと亜硝酸の酸化は継続した。よって,種ろ材の添加は一時的でも硝化作用の獲得に効果的な方法である。

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© 2021 日本水産増殖学会
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