水産増殖
Online ISSN : 2185-0194
Print ISSN : 0371-4217
ISSN-L : 0371-4217
原著論文
紀伊水道および紀伊水道外域におけるマルアジの脂肪含量の季節変動
武田 崇史安江 尚孝
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 69 巻 4 号 p. 265-273

詳細
抄録

本研究では,紀伊水道および紀伊水道外域で漁獲されたマルアジについて,魚体の栄養状態と産卵との関係に関する知見を得ることを目的として,身中の脂肪含量,腹腔内脂肪組織重量指数および比肝重値の季節変動を明らかにした。加えて,産卵期と非産卵期には,身中の脂肪酸含量を明らかにした。生殖腺体指数に基づくと,産卵期は4月から8月であった。脂肪含量は7月から8月に低下し,腹腔内脂肪組織重量指数は産卵期には0に近くなった。産卵後,脂肪含量および腹腔内脂肪組織重量指数は増大した。このように,脂肪含量および腹腔内脂肪組織重量指数の季節変動は,産卵と関係していると考えられる。比肝重値は4月から6月にやや増大した。脂肪酸組成は産卵期と非産卵期で類似していた。C16 : 0 や C18 : 1 のような各種脂肪酸の含有量は,脂肪含量が高い個体ほど多い傾向があった。

著者関連情報
© 2021 日本水産増殖学会
前の記事 次の記事
feedback
Top