1989 年 37 巻 1 号 p. 63-69
1) 1976年12月22日から1977年4月10日まで, 投餌量の異なる実験区を設定し, 飼育水温を上昇させながらアサリの室内飼育を行い, 成熟と摂餌量の関係を調べた。
2) 飼育終了時に行った産卵誘発での誘発個体に対する放卵・放精個体の比率, 同じく終了時の肥満度と雌雄判別率は, いずれも摂餌量の多い実験区の方が高く, アサリの成熟と摂餌量には大きな関係が認められた。
3) 個体の大きさにより摂餌量と成長, 成熟の関係が異なり, 殻長30mm以下の小型の個体の方が殻長の伸び率が高かったが, 放卵・放精したものは殻長30mm以上の大型の個体の方が多かった。
4) アサリの産卵誘発用親貝の選択の指標として, 肥満度が簡便な指標として利用できよう。