水産増殖
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播磨灘南部沿岸海域におけるカサゴの食性と成熟
横川 浩治井口 政紀
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キーワード: カサゴ, 食性, 成熟
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1992 年 40 巻 2 号 p. 131-137

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抄録

生態学的な知見の乏しいカサゴについて, 播磨灘南部沿岸海域を調査地区に選定して, その食性および成熟に関する研究を行なった。
カサゴは非常に幅の広い食性を示し, 甲殻類, 軟体類, 多毛類, 魚類, 藻類などを摂餌していた。特に, エビ, カニ類および魚類に比較的強い嗜好性が認められるようであった。また, 幼稚魚の段階ではヨコエビ, ワレカラを中心とした小型付着生物を主に捕食しているが, 全長100mmを越えるようになると大型のエビ, カニ類や, 魚類を主とした食性へと移行することがわかった。
生殖腺指数 (GSI) の時期的な変動をみると, 雄では11月から12月にかけてGSI値が最大となり, 雌では3月から4月にかけてGSI値が最大となった。GSIの変動より, 10月から3月にかけて交尾が行なわれ, 2月から6月にかけて産仔が行なわれているものと推定された。成熟時期は九州産のカサゴとは大きく相違していた。性比は, 産仔期には雌が著しく多く, その他の時期では雄の方が多かった。また, 雌の全長と卵巣内卵数または胎仔数との関係は一次式で近似された。

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