水産増殖
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沖縄島産シマアジの漁獲実態からみた生態的知見
金城 清昭海老沢 明彦
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1993 年 41 巻 1 号 p. 105-112

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抄録

沖縄島産シマアジの漁獲実態を調べたところ, 以下の生態的知見が得られた。
1.尾叉長5cm台以上のシマアジ幼魚が, 例年4月頃から沖縄島の東西両岸の内湾度の高い沿岸海域に出現した。
2.漁獲サイズや漁場の季節的な変化から判断して, シマアジの生活域は, 成長にともない内湾度の高い沿岸浅海域から徐々に沖に移っていくと考えられた。また, 大型魚は夏はより沖合に, 冬はより沿岸に分布し, 季節的な移動を行うと推測された。
3.生殖腺指数, 聞き取りの結果および幼魚の出現時期とその大きさなどを考慮すると, 沖縄島周辺でのシマアジの産卵期は11月以降から冬季にかけてと推測された。
4.尾叉長組成の解析結果から, 次式のBertalanffyの成長式が得られた。
Lt=66.5× {1-e (-0.374 (t+0.117) ) }
Lt: t才時の尾叉長 (cm) t: 年齢 (才)

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