1993 年 41 巻 2 号 p. 211-216
1.ナラワスサビノリのフリー糸状体と貝殻糸状体の光合成と光量, 温度, 炭酸濃度, 塩分濃度との関係をワールブルグ検圧計によって調べた。
2.光飽和はフリー糸状体では20℃で5, 000lx, 23~30℃で10, 000lx以上にあるとみられた。また貝殻糸状体では20℃で7, 000lx, 23℃で5, 000lx, 25℃で5, 000lx, 30℃で3, 000lxであって, 水温の上昇に伴って飽和照度が低下する傾向がみられた。
3.光合成の最適温度は両糸状体とも23℃であると考えられた。
4.フリー糸状体では30℃の高温度でも一時的に活発な光合成を行ったが, 経過時間とともに光合成が低下した。いっぽう, 貝殻糸状体でも30℃で光合成速度は一時的に高い値を示し, その後衰えていくが, フリー糸状体よりも高い光合成活性を示した。
5.NaHCO3の飽和量はフリー糸状体では500lxで2.5mM, 1, 000lxで5mM, 2, 000lxで7.5mM, 5, 000lxで10mMであって, 高照度ほど飽和濃度も高くなった。また, 貝殻糸状体では2, 000lxで2.5mM, 5, 000lxで10mMであった。
6.塩分濃度については, 両糸状体とも3/4倍海水で最高の光合成がみられた。フリー糸状体は普通海水の2倍濃度の海水では光合成を行わなかった。しかし, 貝殻糸状体では, 最高光合成速度の1/2程度であるが, 2倍濃度の海水中でも光合成がみられた。