水産増殖
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イシダイの二倍体と三倍体との成長および体成分組成の比較
村田 修家戸 敬太郎石橋 泰典宮下 盛那須 敏朗池田 静徳熊井 英水
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1994 年 42 巻 3 号 p. 411-418

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抄録

平均体重約150gの通常発生二倍体イシダイ (2n) および三倍体イシダイ (3n) いずれも1歳魚をそれぞれの網いけすで3年5ヶ月間飼育し, その間の成長, 成熟, 体成分組成等を比較した結果, (1) 3nの成長に対する不妊化の影響は, 産卵期においてのみわずかにみられる程度であり, 2nと3nとの問には, 飼育期間を通じて成長の差はほとんど見られなかった。 (2) 産卵期における3n雌の生殖腺指数は, 4歳魚までほぼ一定の低い値であったが, 2nでは3歳魚まで年月の経過とともに増加した。一方, 3n雄では生殖腺指数は3n雌よりも高く, 二次性徴発現率も年々増加し, 搾ると放精する個体がみられた。 (3) 3歳魚および4歳魚の産卵期における可食部の体重比率は, 3nの方が2nよりも有意に高かった。 (4) 3nの不妊化にともなうエネルギーの蓄積は主として内臓およびその周辺の組織の脂質含量の増加となって現われることが分かった。 (5) 4歳魚産卵期における3n雌の背肉の粗タンパク質および粗脂質含量は, 2n雌のそれぞれに比べて高かった。また, 肉質官能検査の結果, 味およびテクスチャーともに3n雌の方が2n雌よりも高い評価を得た。

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© 日本水産増殖学会
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