1994 年 42 巻 3 号 p. 439-446
コイに無脂肪飼料, 3%のタラ肝油を添加した飼料, ならびに12%のタラ肝油, 大豆油および中鎖トリグリセリドをそれぞれ添加した飼料を30日間給与し, 体成分や肝膵臓酵素活性を測定した。血清のトリグリセリドとコレステロールの含量, 全魚体脂質含量および脂質蓄積率は大豆油添加区に比べてタラ肝油および中鎖トリグリセリド添加区に低かった。解糖および糖新生酵素の活性に著しい区間差はなかったが, リポゲニック酵素のG6PDHやNADP-MDHの活性は無脂肪飼料区に比べて各脂質添加飼料区に低く, 特にタラ肝油添加区で顕著に低かった。以上の結果から, 大豆油や中鎖トリグリセリドに比べてタラ肝油はコイ肝膵臓の脂質合成を顕著に抑制し, 血清トリグリセリドおよびコレステロールを低減させると推察された。