水産増殖
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ラクトフェリンの投与がキンギョの成長および血液性状に及ぼす影響
角田 出
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1996 年 44 巻 4 号 p. 419-426

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抄録

ウシラクトフェリン (LF) をキンギョに経口投与し (0.06~60mg/kg体重/日) , 56日間の成長および血液性状の変化から, LFが魚の栄養生理状態に及ぼす影響を調べた。一日当たり体重1kgあたり0.6~60mgのLFを投与した区では, キンギョの成長が良く, その効果は投与量に依存する傾向を示した。
0.6~60mg/kg体重/日のLFを投与した区では, 血漿の乳酸およびコルチゾルの濃度が有意に低くなり, 逆に, リン, カルシウム, 鉄および亜鉛の濃度は上昇した。
すなわち, LFは飼育魚の生理状態を良好に保つ効果を有すること, および, 栄養素や必須元素の吸収促進あるいは体内保持に有効であることが示唆された。
但し, 飼育56日目には, 60mg/kg体重/日のLF投与区と6mg/kg体重/日のLF投与区との間の体重に差がなくなった。また, 60mg/kg体重/日のLF投与区では, 飼育56日目の血漿乳酸およびコルチゾル濃度が対照区と同じレベルとなった。従って, 現時点では, 長期間にわたりキンギョの栄養生理状態を良く保つために有効なLFの投与量は0.6~6mg/kg体重/日と考えられた。

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