1996 年 44 巻 4 号 p. 427-432
ラクトフェリン (LF) 添加餌料 (LF投与量は80mg/kg体重/日) および市販の餌を投与した無感染キンギョを白点虫感染魚と7日間, 水温20℃で同居させ, 白点虫の人為感染を惹起した。同居終了後, 同水温で魚を個別に飼育し, 10日間にわたり生残率の変化を調べた。LF投与群における白点虫感染率は対照区に比べて低かった。白点虫の感染によるキンギョ死亡は2日目以後に認められたが, LF投与群は, 対照群に比べて生残率の低下速度および低下開始時期が遅く, 10日目の生残率は高かった。これらの結果から, LFの経口投与がキンギョの白点虫感染に対する防御能力を高めることが示唆された。また, LFの投与がキンギョの体表粘液分泌量に及ぼす影響を調べたところ, LF投与群では体表粘液分泌量が増加しており, LFの投与によって引き起こされた体表粘液量の増加がキンギョの白点虫感染に対する一つの有効な防御機構として作用することが示唆された。