1999 年 47 巻 1 号 p. 49-54
ヒラメを用いて枝分かれ交配を行い, 半同胞の分散分析法により稚仔魚の全長, 生残率および白化率の遺伝率 (雄親魚成分) を推定した。孵化直後, 孵化後10日目, および孵化後40日目の全長の遺伝率は, 非常に低い値であり, 母性効果は高い値であったので, 卵質による影響が大きいと考えられた。孵化後40日目の生残率は, 遺伝率・母性効果ともに低い値となり, 稚魚の生残に親魚の遺伝的要因が, あまり反映されない結果となった。白化率では, 遺伝率は高い値で, 母性効果は低い値であったので, 卵質の影響は少なく, 個体選抜による遺伝的改良の可能性が示唆された。