2000 年 48 巻 1 号 p. 105-108
魚類好酸球の機能を解析するため,鉤頭虫に感染したゴンズイの末梢血および感染部位における好酸球の観察を行った。感染魚の末梢血では好中球および好塩基球数供にほとんど変化しなかったのに対し,好酸球は非感染魚に比べ著しく増加し有意に高い値を示した。好酸球は,直径10~20μmで楕円形をしており,細胞質にはエオジン好性の顆粒が充満していた。消化管における感染周辺部位では粘膜固有層の剥離がみられ,粘膜固有層と粘膜下組織にエオジン好性顆粒をもつ好酸球様細胞が多数認められた。以上の結果,末梢血中で増加した好酸球が消化管の感染部位に多数浸潤していることを示しており,好酸球は寄生虫に対する生体防御反応に対して重要な役割を果たしていることが推察された。