水産増殖
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マガキの正常卵および雌性発生卵における核の挙動の細胞学的観察
李 〓尾定 誠柏原 勝広橋 憲木島 明博
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2000 年 48 巻 2 号 p. 193-198

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抄録

マガキの正常卵および雌性発生卵の成熟分裂と受精過程における核の挙動を蛍光顕微鏡で調べた。雌性発生半数体は72erg/mm2/sの強度で60秒紫外線照射した精子を用いて誘起した。雌性発生卵において紫外線照射は成熟分裂と雄性前核および雌性前核の形成に影響しないものの,卵発生の進行速度が遅れた。第1卵割前期では,雌性発生卵内の雄性前核が雌性前核と異なり,染色体に展開しないまま,濃縮したクロマチン小体(DCB)となり,核分裂に参加しなかった。第1卵割の細胞質分裂終了時に,このDCBが一方の割球の細胞質に取り込まれるか,または第1卵割中期の核板付近で二つの割球に別れる像が観察された。マガキにおける雌性発生誘起の細胞学的証拠が示された。

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