水産増殖
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藻類増殖用水溶性ガラスを用いた珪藻Chaetoceros gracilisの簡易な半連続培養システムの開発
綿貫 啓廣瀬 紀一門谷 茂
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2004 年 52 巻 1 号 p. 11-16

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抄録

感染症によるアコヤガイの大量死亡が問題となっている。大量死亡が夏季の餌料不足時に生じることから, 人為的に餌料を与えることで大量死亡を低減できると考え, 実証実験を行った。
そのために, 従来にない低コストで簡易なChaetoceros gracilisの屋外大量培養技術が必要であり, 500l水槽4槽を用いてクロロフィルa量600μg/lで毎日600lの供給ができる半連続培養システムを目標とした。
連続培養でコストがかかるのが栄養塩の添加であるが, 著者らの開発したシリカ, リン, 鉄等が溶出する藻類増殖用水溶性ガラスと窒素肥料を培地に用いたので, 簡易な半連続培養システムとなった。なお, 藻類増殖用水溶性ガラスは成分の溶出量や溶出速度を制御することが可能である。
Chaetocerosを培養することが困難な夏季にC.gracilisを半連続培養した結果, 平均的にクロロフィルa量で550~850μg/l, 細胞数では約290万~370万cells/mlを生産, 供給することができた。屋外でのC.gyacilisの培養として, 高濃度に培養することができた。

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