水産増殖
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リシケタイラギの換水に及ぼす水温の影響
山元 憲一半田 岳志中田 安昭
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2007 年 55 巻 1 号 p. 71-75

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抄録

リシケタイラギを用いて, 換水と鰓の繊毛運動に及ぼす水温の影響を酸素飽和と低酸素の状態 (酸素分圧54mmHg) で20℃から3℃ずつ1時間毎に水温を上昇させて調べた。換水運動は酸素飽和と低酸素のいずれも32℃で停止した。小片の移動速度は32℃で最大を示し, 36℃でも20℃とほぼ同じ値を示した。結果から, 水温が急激に上昇した場合には, 外套膜を閉じて殻腔内への海水の取り込みを停止させて体温の上昇を防ぐと同時に, 体の一部を出して海底に立った形で潜入して生息していることから, 鰓の繊毛運動で体の下部の温度の低い海水を殻腔内に循環させて体温の上昇を防いでいると推測した。

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© 日本水産増殖学会
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