水産増殖
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伊豆大島におけるスポアバック法を用いたアントクメ群落復活の試み
駒澤 一朗杉野 隆滝尾 健二安藤 和人有馬 孝和
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2007 年 55 巻 2 号 p. 213-218

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抄録

1) 伊豆大島の浅海域3地点 (泉津漁港, 野増前浜, 碁石浜) において, スポアバック法によるアントクメの母藻投入実験を行った。
2) 泉津漁港では2002年に母藻を投入し, その後, 2003年に最大400株程度のアントクメが認められ, 2004年は同1000株, 2005年は同2000株と年を追って株数は増加した。碁石浜では2004年に投入し, 2005年7月に葉の先端部の欠損が著しかったものの1800株程度が認められ, 8月には子嚢斑の形成を確認した。一方, 野増前浜では2003年に投入した結果, 2004年6月に70株程度が認められたが葉の欠損が著しく, 葉長は最大でも2~3cmにとどまった。
3) 碁石浜でのスポアバック投入場所と, 翌年生育していたアントクメ株数の関係から, 1個のスポアバックによる播種効果範囲は, 母藻の設置場所から半径5m程度と考えられた。
4) アントクメ群落の造成を目指したスポアバックの投入は一定の効果があったと考えられるが, 投入場所によりその効果に差異が認められ, 食害の可能性が疑われる葉先部分の著しい欠損も認められた。

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