2007 年 55 巻 4 号 p. 541-546
静岡県の榛南海域では大規模な磯焼けが発生している。本研究では榛南海域にカジメ・サガラメ種苗をSt.1 (水深約5m) に, カジメ種苗をSt.2 (水深約8m) の2地点に移植し, その生長・成熟, アイゴによる食害状況を2005年7月から2006年2月まで観察した。カジメの葉長は, St.1では7月に約50cmを示し, 9~10月に約20cmで最小値となり, その後は増加した。St.2においても葉長は同様の変化を示したが, St.1よりも測定期間を通じて短かかった。カジメ成熟個体は9月から翌年2月にかけて観察され, 11月には約半数が成熟し, 周辺に幼体が観察された。両種とも, アイゴによる食害が8月から翌年2月に観察された。特にSt.1に移植したサガラメは, カジメよりも食害を強く受け, 9月から翌年2月にかけて葉長10cm以下となり, 葉状部の大部分が被食され, 再生産は確認できなかった。