教育心理学年報
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V 展望
対人コミュニケーションに関する実験的研究の動向と課題
小川 一美
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2011 年 50 巻 p. 187-198

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抄録

本稿では, 対人コミュニケーションに関する最近の日本の実験的研究を中心に概観し, 取り組むべき課題について言及した。言語的コミュニケーションおよび非言語的コミュニケーションに関する研究をいくつか挙げ, 言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションの融合も含めたマルチ・チャネル・アプローチによる研究の必要性についても研究例を挙げながら論じた。続いて, 3者間コミュニケーションや観察者という立場から捉えた対人コミュニケーション研究など, 2者間コミュニケーション以外の対人コミュニケーションの捉え方についても紹介した。また, 対人コミュニケーション研究にも社会的スキルという概念が近年多く組み込まれるようになってきたが, 構成概念も含めこの両者の関係性については十分な吟味が必要ではないかという問題提起を行った。最後に, 対人コミュニケーション研究の今後の課題として, 会話者の内的プロセスの解明, 文化的背景の考慮, 他分野の研究への関心, well-beingとの関係を検討する必要性などについて指摘した。

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© 2011 日本教育心理学会
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