教育心理学年報
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I わが国の教育心理学の研究動向と展望
青年期を中心とした発達的研究の動向と展望
佐藤 有耕
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2017 年 56 巻 p. 24-45

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抄録

 本稿は,国内で発表されたこの1年間の青年期を中心とした発達的研究を概観し,青年期以降の発達的研究の動向を報告し,今後の展望を試みることを目的とするものである。目的に従い,第1に日本教育心理学会第58回総会発表論文集(2016年・香川大学)を総覧し,第2に2015年7月から2016年6月までに発表された国内学会誌6誌を概観した。青年期以降を対象とした発達研究は,複数の年齢層を対象とした研究,特定の年齢層を対象とした研究,展望・理論論文に分けて報告した。また,学会誌論文については領域についての分類も行い,A. 自己に関わる対自的側面の領域,B. 自己以外の他との関係である対他的側面の領域,C. 社会への移行である就職活動も含めた時間的展望の側面の領域,そしてD. 学校・学習と職場に関連する領域,E. 健康・適応に関連する領域とした。各領域において,発達的特徴,発達的変化,発達的な過程に関する研究知見が得られていた。また,過去の展望論文で指摘されていた課題や今後の方向性は現在の研究動向にも通じるものであり,今後の発達的な研究にも求められる方向性であることが確認された。

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© 2017 日本教育心理学会
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