2018 年 57 巻 p. 123-135
本稿は,2016年7月から2017年6月までの学校心理学に関する国内の研究動向を概観し,学校教育の動向とてらし合わせて,今後の課題を提示することを目的とするものである。学校心理学の研究について,まず日本教育心理学会第59回総会発表論文集(名古屋大学)を総覧し,学校心理学部門において発表された研究についてテーマの分類を行った。また,学校心理学に関する学会誌論文について,3段階の心理教育的援助サービスと調査対象者の学校段階によって分類した。こうして得られた学校心理学の研究動向について,近年の学校教育をめぐる政策的・臨床的動向にてらして考察した。以上を踏まえ,今後の学校心理学の課題として,援助者としての教師についての研究の必要性を述べた。