教育心理学年報
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I わが国の教育心理学の研究動向と展望
臨床心理学における研究の動向と今後に向けて
伊藤 美奈子
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2018 年 57 巻 p. 98-111

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抄録

 本稿では,2016年7月から2017年6月までの1年間に発表された臨床心理学に関する研究の動向を展望した。最初に,「臨床心理学研究」についての定義を示したうえで,日本教育心理学会第59回総会の「臨床」部門で発表された研究報告を概観し,調査対象者により分類し,特徴的なキーワードを挙げた。さらに,総会で企画されたシンポジウムについても概観した。次に,4つの学会誌に掲載された臨床心理学に関する研究の概要を述べた。その結果,大学生を対象とした研究では,「抑うつ」や「人間関係」に関する研究に加え,「大人への自立」をテーマとした研究も大学生という時期の特徴を示していた。小・中・高校生を対象とした研究には,「ストレス」「いじめ」「援助要請」「心理教育」などのテーマが多くみられた。それ以外にも,教師や親,初任心理職者,施設職員など,支援する側を対象とした研究も見られた。最後に,臨床心理学研究の動向と今後に向けての展望が示された。

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© 2018 日本教育心理学会
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