2023 年 62 巻 p. 123-142
本稿では2021年7月から2022年6月末までの1年間に,わが国で発表された学校心理学に関する研究の動向を学校臨床心理学の視点から概観し,学校心理学の現状と課題について考察した。学校心理学は,①公的・制度的要請に基づく認知面のアセスメントを原点に持ち,②学校教育活動として支援を行い,③一般の心理学を研究基盤とする。対して学校臨床心理学は,①私的・個別的な個人の要請から出発する臨床心理学をルーツに,②臨床心理学的な視点の提供を実践の中心とし,③事例研究・実践型研究等を重視する。現在スクールカウンセラーの転換期として,学校心理学の実践性や学校臨床心理学との協働が求められている。当該期間の発表論文は,学校心理学の特長を活かす心理教育プログラム関連のものが多い一方で,プログラム評価や間主観的なきめ細やかな理解など学校臨床心理学的な要素も見られた。今後の課題として,心理教育プログラムによる学校現場への貢献や,実践と研究の両面での学校臨床心理学的な要素の付加,臨床心理学的な訓練や国際的な情報交流の重要性が指摘された。