教育心理学年報
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測定・評価・統計研究この一年
南風原 朝和
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1991 年 30 巻 p. 91-99

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抄録

この領域での最近の“事件”といえば, 大阪の教育心理学会総会で開かれた因子分析に関するシンポジウムと小講演が大盛況だったことだろう。測定・評価・統計というと, 教育心理学会の中ではあまり注目されることのない, どちらかと言えばマイナーなイメージがあるだけに, 一瞬, 会場を間違えたのではないかと思ったぐらいだった。それだけ多くの教育心理学研究者が因子分析を利用し, その方法の最近の発展や適用上の問題に大きな関心をもっているということだろう。
このレビューも, そのシンポジウムと小講演の内容を中心にした因子分析の話題から始め, それに続いて因子分析以外の統計解析法に関する研究を紹介する。その後, 教育心理測定の方法論的研究と応用研究, 教育評価に関する研究の順に最近の研究動向をみていくことにする。
今回のレビューで主な対象としたのは, この領域に関係のある4つの学会, すなわち, 日本教育心理学会, 日本心理学会, 日本教育工学会, および日本行動計量学会の機関誌 (1989年7月から1990年6月までの間に発行されたもの) に掲載された論文と, これらの学会の1990年度の大会で発表された論文である。このほかに若干の単行本も対象としたが, 大学や研究所等の紀要論文については割愛させていただいた。

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© 日本教育心理学会
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