教育心理学年報
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中学校における不良行為の改善と予防に関する検討
杉山 雅彦
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2001 年 40 巻 p. 169-176

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抄録

近年我が国では中学生の不良行為 (あるいは非行) が, 大きな社会問題として取り上げられるようになり, 学校における対応の重要性が増してきたといえる。本研究では顕著な不良行為が生じていた中学生に関して学校の場を中心としてその問題を改善するためのアプローチを行い, さらには予防するためのアプローチに関して検討を行う。
対象生徒中学2年生男子
問題が生じる前は目立たない「良い子」であるとされていた。しかし顕著な暴力行為が問題となった。行動分析の結果・緊張のレベルが高い・教師や親との相互作用が回避的である・社会的な行動レパートリーが乏しいこと, が問題となった。指導場面では, まず, 対象生徒への強化機会を増加するコントロールが用いられた。同時に・学校内の嫌悪事象を減少させるための教師からのアクセスの増加・社会的な相互作用を変化させるための社会的スキルの形成が行われた。その結果対象生徒の緊張反応は低減し, 社会的な行動が増加して相互作用が改善されることで, 問題は解決された。教師から見て「良い子」に見える状況は, 児童にとってストレスフルな状況であることが指摘された。不良行為の予防のために, 「目立たない」という状況への積極的な対応が必要と考えられた。

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© 日本教育心理学会
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