教育心理学年報
Online ISSN : 2186-3091
Print ISSN : 0452-9650
ISSN-L : 0452-9650
協同学習による授業改善
杉江 修治
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 43 巻 p. 156-165

詳細
抄録

教育心理学は教育実践に実り多い貢献が可能である。特に, 学習の原理から教育実践を捉えようという学問の性格がその有用性を支えている。実践と関わる教育心理学者は, 原理を踏まえたうえで, 問題意識を優先した研究を教育実践に対して行うべきだと考えられる。ここでは具体的に, 協同学習研究を取り上げ, それと教育実践とのかかわりを論じた。さまざまな教育心理学の原理を統合して生まれた協同学習が, 学校教育を中心に, どのような実践的課題に対応してきたかについて, 接近の方法とあわせて紹介した。また, より具体的に, バズ学習による単元見通し学習と, 協同的少人数授業を軸とした犬山市の授業改善の事例を紹介した。最後に教育心理学は実践を改善する原理を提供するばかりでなく, 教師の間に研究的実践の文化を形づくっていくのに大きな役割を果たすことを論じた。

著者関連情報
© 日本教育心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top