教育心理学年報
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改革期の大学教育における学生相談
コミュニティ・アプローチモデル
吉武 清實
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2005 年 44 巻 p. 138-146

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抄録

激しい社会変動の中で, 大学は変化に適合するための模索を余儀なくされ, 大学の中にある学生相談サービスもパラダイムの変換を迫られている。学生相談機関とカウンセラーは, 各大学が学生支援サービスを充実させていく上で中核的役割を担いうる位置にある。日本における大学改革に適合するための枠組みとして, 学生相談へのコミュニティ・アプローチモデルを提起した。このモデルのアプローチは, 臨床・実践のみならず研究活動においても, 徹底してプラグマティックで柔軟であり, このアプローチを採るカウンセラーは, 核となる個別カウンセリングの活動やマイクロシステムレベルの介入のみならず, 広く大学コミュニティへの予防的介入や大学カウンセラーの職能集団コミュニティの発達にも貢献しようとする。このモデルの方向に沿ってこの数年なされてきた実践研究と議論に触れ, 今後の課題として, 大学カウンセラーのアイデンティティ問題, 学生相談機関の評価, 権利擁護者としての職能集団の役割の問題についても議論した。

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© 日本教育心理学会
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