教育心理学年報
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概念的妥当性の検証
心理測定学的構成概念と認知心理学的構成概念の場合
並木 博
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2006 年 45 巻 p. 134-144

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抄録

1955年にCronbach and Meehlが法則定立的ネットワークによる概念的妥当性検証に関する論文を公にして以来, その方法論上の重要性が心理学研究者によって広く認められるようになった。30年後にCronbachはこの考え方の展開を展望し, 概念的妥当性検証の進歩のための現実的方略を提言した。その間, 心理学全般の動向は, 情報処理的アプローチへと大きく変貌を遂げた。Embretsonは認知心理学的理論化に基づいて概念的妥当性検証の新しい方法を提唱し, それを “構成概念表現的アプローチ” と呼んだ。筆者は概念的妥当性検証の以上のような歴史の流れを展望した後, Kyllonenの最新の挑戦的研究を含めて, これまで用いられてきたその検証の方法を検討した。最後に, 筆者らの行った作動記憶理論と項目反応理論に基づく認知症診断のための神経心理学的診断検査の開発の概要を報告し, また “概念的妥当性の相補的検証手続き” と名づけた方法に言及したが, これは心理測定学的, および認知心理学的アプローチの協同を企図したものであった。

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