教育心理学年報
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最近の認知研究からみたe-ラーニングの可能性
大島 純
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2008 年 47 巻 p. 178-187

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抄録

本稿では, 現在初等教育から高等教育まで, その普及が著しいe-ラーニングについて, その効果的な利用のために展開されている認知心理学的研究の二つを概観する。その第一はe-ラーニング学習環境で学習者に要求される学習方略(自己制御学習)に関する研究である。この研究の成果は, e-ラーニング学習環境における学習成果を向上させる教育的支援のあり方 (足場掛け) について有益な示唆を提供している。そして第二は, 学習者の認知的アーキテクチャに言及した認知的負荷理論の発展である。e-ラーニング学習環境における課題要求と, それを実行するための学習者の心的資源の関係をシステマティックに分析する視座を提供してくれている。それぞれの研究潮流を概観した上で, そうした研究アプローチが今後のe-ラーニングにおいてどのような意味を持っているのかについて著者なりの考察を加える。

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© 日本教育心理学会
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