アレルギー
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病巣抗原の感作実験 : 第3報 感作宿主の血清学的所見
小泉 富美朝深瀬 真之北村 四郎小島 健一
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1975 年 24 巻 1 号 p. 11-20,81

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抄録

ウサギの皮下に卵白感作を行って生じたArthus型の病巣を摘出し, これを病巣中心の壊死層(N)と周囲の肉芽層(W)に分け, これをホモジネートしてそれぞれ病巣抗原NおよびW物質を作製した.この物質を摘出した自己および同種ウサギ34頭に6-8カ月間感作し, 経時的に採取した血清について免疫電気泳動, Ouchterlony法, 受身赤血球凝集反応を行って大要次の結果を得た.1)N物質に対する抗体は卵白のmain componentに対する抗体として同定され, このものは感作初期からNまたはW感作例の多数例に証明され, とくにN感作例では感作後期(感作120日以降)まで高い抗体価が認められた.2)W物質に対する抗体は, Ouchterlony法および受身赤血球凝集反応により, 感作80日以降から34例中10例に認められた.この抗体は卵白成分やウサギ全血清では吸収されず, 自己の腎・肝・心臓の臓器乳剤で交叉反応を示した.3)病巣抗原には卵白のmain componentのほかにウサギ血清成分も含まれており, これはN物質よりもW物質中に多く含まれていた.4)アミロイド腎症, アミロイド加味腎炎およびアミロイド沈着のない糸球体腎炎において血清および尿の免疫電気泳動を行い, 前2者では尿中にIgGとその変性物およびトランスフェリンとみなされる沈降線の出現を認めた.アミロイド沈着のない腎炎例では尿中にIgGとその変性物の出現を認めたが, トランスフェリンとみなされる沈降線は認められなかった.

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© 1975 日本アレルギー学会
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