アレルギー
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小児期の下気道疾患, とくに乳児・小児期気管支喘息における洗浄喀痰(気管支分泌物)の細胞学的研究
劉 雪華
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1975 年 24 巻 12 号 p. 797-807,833

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抄録

小児の下気道疾患の洗浄喀痰細胞像の病因的診断および喘息における臨床的意義を知るために洗浄喀痰中に出現する肺胞食細胞(あるいは塵埃細胞), せん毛上皮, リンパ球, 好中球, 好酸球, 扁平上皮化成の6種類の細胞について検討した.1)急性下気道感染症とアレルギー性気管支炎, 喘息や慢性気管支炎では, 好酸球増多(〓-〓)の頻度は, 後3者に多く有意差が認められた(p<O.01).〓以上の好酸球増多は, 急性下気道疾患では認められなかった.2)扁平上皮化成は急性下気道疾患に比し反復性・慢性下気道疾患, とりわけ慢性気管支炎では高率(55.2%)で有意差が認められた(p<O.01).また喘息の病型では, 通年型が季節型に比し高率にみられ有意差が認められた(p<O.05).3)好酸球増多と予後との関係をみると, 好酸球増多群の緩解率が高いが, 有意差は認められなかった.4)喘息発作時の気道感染と感染徴候との関係では, 感染徴候の有無に関係なく好中球増多出現率(〓以上)は, 主体菌陽性群は陰性群に比して高率で有意差がみられた.(p<0.01).ただし, ウイルス感染群に関しては例数が少なかったので結論は得られなかった.

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© 1975 日本アレルギー学会
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