1975 年 24 巻 12 号 p. 820-825,834-83
モルモットのツベルクリン反応の発現に対するミコフェノール酸(MPA)の影響を検討した.BCG生菌で能動感作誘導期にMPAを速続投与することにより, ツベルクリン反応の発現が阻害された.また, MPAはすでに感作の成立した動物, あるいは感作細胞の移入により受動感作された動物におけるツベルクリン皮膚反応に対しても阻害作用を示した.しかし, 感作細胞を試験管内で高濃度のMPAで処理しても, 細胞のアレルギー伝達能は損われなかったが, 感作細胞の放出する皮膚反応のメディエーターであるSRFによる皮膚反応はMPA投与により抑制されることが見いだされた.これらの作用はいずれも末梢血中白血球数が減少しないMPAの投与条件下で認められた.以上の成績から, MPAがツベルクリン反応の発現を阻害する機構は主としてメディエーターにより誘起される反応を抑制することにあると考えられる.