アレルギー
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気管支喘息の研究 : 第9報 ラワン材により惹起されたと考えられる職業性アレルギーの症例について
中村 晋山口 道也沢田 滋正葉山 隆
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1975 年 24 巻 2 号 p. 105-108,143

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抄録

近年米杉と同様, ラワン材の輸入と使用の増加に伴い木工業者間におけるラワン喘息が注目されている.ここでは最近われわれのアレルギークリニックで診療した本症の1例を報告し, 若干の検討を加えた.症例は50才の男子.以前スチール家具製造に従事していたが, 1964年以来木工業にたずさわっている.3年前からラワン材をひく仕事をすると, 仕事中および仕事後にくしゃみ, 鼻汁, 咽喉部異和感, 時に咳嗽をきたすと訴えて1973年1月27日来院した.末梢血ならびに鼻汁中好酸球増多なく, routine 吸入性抗原液による皮内反応ではヒメガマ花粉, ブタクサ花粉および Candida albicans に陽性, 特製ラワン材エキスによる皮内反応, 点鼻誘発試験および Prausnitz-Kustner 被働性転嫁試験も陽性を示した.ラワン材による減感作療法は1年以上実施され良効を得, 患者は現在顕著な症状なく従業している.上述の病歴ならびにアレルギー学的検査成績より, 本症例はラワン喘息の範疇に属する職業性アレルギーと考えられる.

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© 1975 日本アレルギー学会
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