1975 年 24 巻 6 号 p. 472-482,523
ラットのネフロトキシン腎炎(ネ腎炎)に対するN-benzenesulfonyl-β-alanine hydrazide (KH-125)の効果を, 蛋白尿量, 光顕による組織所見および電顕による検索から判定した.KH-125にはネ腎炎を予防, 抑制および治療する効果が認められた.KH-125投与により蛋白尿量はdose-dependentに減少し, 光顕においては組織所見に改善がみられた.また電顕では, 上皮細胞足突起の融合指数の改善と糸球体基底膜の肥厚抑制が認められた.ネ腎炎に対するKH-125の薬効として特徴的なのは, 蛋白尿量の減少と基底膜の肥厚抑制であった.既知薬物6-MP, cyclophosphamideおよびprednisoloneとの比較では, 蛋白尿量の減少, 上皮細胞足突起の融合指数の改善および基底膜の肥厚抑制から判断して, KH-125の薬効が最も強かった.