アレルギー
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花粉症の研究 : III.花粉の飛散型について
藤崎 洋子山田 康子小田 良彦岡田 敏夫小林 收佐藤 陽子佐藤 尚
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1975 年 24 巻 8 号 p. 613-628,638

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抄録

新潟市中心部の4ヵ所で空中飛散花粉調査を行い, 花粉飛散の地域差を検討した.花粉数差, 飛散期間の異同, pollen curveの類似性を中心に各花粉の飛散範囲を検討し, これを花粉の飛散型として広域型, 中間型, 狭域型の3型に分類した.広域型花粉は広範囲に遠くまで飛散し, 風媒木本類が属し, 中間型花粉は広域型と狭域型の中間的飛散を示し, 主として風媒草本類がこれに属す.狭域型花粉は狭い範囲に飛散し, あまり遠くまで飛ばない花粉で, 虫媒花のほとんどすべておよび風媒草本類中のヒメガマ, ギシギシ属, ブタクサ属などが属す.この飛散型によって当該花粉症の診断, 治療, 予防対策が異なる.花粉飛散に影響を与える重要な因子は, 植生と風向であり, 花粉症患者宅周辺の植生地と風向の関係は当該花粉期において常に考慮する必要がある.花粉飛散と皮内反応陽性率との関係では, 狭域型花粉にある程度の関連性を認めた.

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© 1975 日本アレルギー学会
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